【片麻痺】
身体の片側(手足)に生じた運動麻痺のこと。右手右足の運動麻痺であれば右片麻痺、反対なら左片麻痺となる。一般的に、右の脳の損傷では、左片麻痺が現れ、逆に左の脳の損傷では、見方麻痺が現れる。
【くも膜下出血】
くも膜とは、脳の表面を覆う薄い膜のことで、その内側にある軟膜という膜との隙間をくも膜下腔と言います。このくも膜下腔に出血が起こった状態をくも膜下出血と言います。
突然の激しい頭痛を伴うことが多く、原因の多くは脳の動脈にできた瘤(脳動脈瘤)が破れることで発症します。女性の発症率が高く、出血量が多いと生命の危険を伴い、死亡率は30~40%と言われます。
【言語障害】
脳卒中後遺症の一つとして、言語障害があります。これは、文字通り言葉の障害ではありますが、種類が2つに分かれます。ひとつは、「失語症」そしてもう一つは、「構音障害」です。この2つは、言語障害として同じように捉えられてしまいがちですが、根本的な原因が異なります。
失語症は、言葉を司る脳の領域が損傷を受けることで、言葉を使う能力に障害が生じた状態です。言葉を理解できなくなったり、話せなくなったり、読み書きが難しくなったりします。
構音障害は、運動障害性構音障害とも言うように、言葉を話すための運動機能に障害が生じ、話しにくくなることを言います。声が出にくくなったり、呂律が回らなくなったりします。言葉の理解や読み書きについては問題ありません
【構音障害】
構音障害とは、発音するための運動機能が低下することで、「声が出しづらい」「呂律が回らない」などの症状が出る言語障害です。失語症と混同される場合がありますが、構音障害の場合は言葉を理解でき使用することには問題なく、あくまでも言葉を発するために必要な唇や舌がうまく動かせないことにより、下記のような症状が出ます。
・話し方がぎこちなく、リズムが安定しない
・息が漏れるような話し方になる
・話すスピードが遅い
・声が小さい、高い(または低い)
・話が途切れる
など。
失語症の場合は、「理解・話す・読み書き」など言葉に関する脳の領域が損傷しており、うまく話ができないという症状が出ます。
【高次脳機能障害】
脳卒中などで脳が損傷し、その後遺症として言語・記憶・注意などの認知的な障害が起こることを高次脳機能障害と言います。感情を抑えられなくなったり、相手の考えを理解することができなかったり、物事を順序よく進めることができなかったりなど、社会生活を送る上で支障をきたすことがあります。また、身体的な障害が認められない場合は、病院の診察では気付かれないことも多く、「見えない障害」や「隠れた障害」とも言われます。高次脳機能障害の原因の約8割は脳卒中です。
【視床出血】
「視床」は、脳内の間脳という部位の一部で、左右に対であります。そこから出血することを視床出血と言います。脳出血の中で、被殻出血に次いで多く、約3割を占めます。
視床だけに出血が起こる場合と、出血範囲が広かったり深かったりする場合とで症状や症状の重さも異なります。また、「脳室」に近い部分のため、脳室内出血を起こすと死亡率が高まります。
主な症状としては、半身麻痺や感覚障害、眼球が下内側の位置で動かなくなったりすることもあります。また、視床痛と言って、薬が効かないほど半身が痛むこともあります。
【麻痺】
神経が損傷されることによって、手足の機能や感覚が失われること。
手足を動かそうとしたときに力が入りにくかったり、感覚が鈍かったりする「不全麻痺」と、力が全く入らない、感覚もない「完全麻痺」とに分類されます。また、部位によって、片麻痺・単麻痺・対麻痺・四肢麻痺などにも分類され、片麻痺の場合は、脳疾患が疑われます。
【ラクナ梗塞】
脳の太い血管から枝分かれしている細い血管が詰まる病気(脳梗塞)。「ラクナ」とは、ラテン語で小さなくぼみという意味で、ラクナ梗塞によって壊死する脳細胞の範囲は小さく、症状も他の脳梗塞に比べて軽いことがあります。更には何も症状が出ず脳梗塞になったことに気づかない「無症候性脳梗塞」の場合もあります。もちろん、症状が出る場合、他の脳梗塞と同様に、運動麻痺や感覚、構音障害などが現れます。ラクナ梗塞の治療は、手術ではなく内科的治療が行われます。
【リハビリ】
リハビリは、リハビリテーション(rehabilitation)のことで、ラテン語のre(再び)とhalilis(適した)という言葉が語源となっています。つまり、「もう一度適した状態になる」というのが直訳となります。
リハビリの種類としては、「理学療法」「作業療法」「言語療法」の3つに大きく分けられます。理学療法は、歩行や動作など運動機能の訓練を行います。作業療法では、日常生活や仕事のような作業活動を通して、身体的・精神的障害を持つ方が自立できるよう訓練していきます。言語療法は、話すことや聞くこと、コミュニケーションに関する訓練を行ったり、嚥下障害がある方の飲み込みの改善訓練なども行います。
【ワレンベルグ症候群】
別名「延髄外側症候群」。延髄※という箇所の外側に梗塞を発症する疾患のことです。
ワレンベルグ症候群の主な症状としては、突然の頭痛や嘔吐、ぐるぐる回るような回転性のめまい、体幹のバランスが取れなくなることによるふらつき、飲み込みの障害(嚥下障害)などがあります。ワレンベルグ症候群における感覚障害は、他の脳卒中の感覚障害と違い、顔面は病巣側、体は病巣と反対側に認められ、 首から上と下では、左右反対に障害が出現するのが特徴です。
※「延髄」は、「中脳」、「橋」と共に、生命維持に不可欠な神経が多く集まる「脳幹」を形成しています。
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