ペインクリニック(慢性の痛み)メニュー
慢性疼痛
当院のペインクリニックでは慢性疼痛の診断・治療を行っています。
現在わが国では4.4人に1人が慢性疼痛患者という報告もあり、そのうちの約70%がきちんと緩和がなされていない慢性疼痛といわれています。中でも頭痛、肩こり、腰痛による慢性疼痛を訴える方は非常に多いのが現状です。慢性的な痛みは病的状態というだけでなく、生活の質(QOL)にも多大な影響を及ぼします。
当クリニックでは慢性痛に悩んでいる方に対して、「痛みを軽減すると共に生活の質(QOL)も改善する」ことを目標に診療を行なっています。
治療時間 | 10~15分 |
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治療後の通院 | 1週間後 |
腫れや痛み | 注射での治療の場合は、針を刺すときに痛みがあります。腫れは気にならない程度です。 |
初診当日の治療 | 可 能 |
入院の必要性 | な し |
適応症
下記の疾患によっておこる慢性痛など
トリガーポイント注射・筋膜リリース注射適応
- 肩こり
- テニス肘
- 腱鞘炎
- 腰痛症
- 股関節痛
- 膝関節痛
- 筋膜性疼痛症候群(MPS)
内服治療適応 ※注射での治療は行えません
- 頭痛
- 三叉神経痛
- 坐骨神経痛
- 五十肩(肩関節周囲炎)
- 線維筋痛症
- 変形性頚椎症
私たちはけがをすると痛みを感じます。この痛みによってどこが傷ついたのか知ることができます。この痛みを急性の痛みと呼び、通常1~2週間経過すると痛みを感じなくなります。ただ、この急性の痛みを感じた時に適切な処置を行わなかったり間違ったケアを行うと、痛みが長引くことがあります。 この長引く痛みが1ヶ月以上続く場合に慢性の痛みとなり、受傷部以外の箇所の痛みである放散痛や関連痛を引き起こしたりします。
治療法
当院では慢性疼痛などに対し、内服、トリガーポイント注射、筋膜リリース注射治療を行っています。
痛みの治療では、まず痛みを感じないようにする内服治療を行います。なるべく早い段階で痛みの内服治療を行った方が、痛みは長引かないと言われています。内服治療で痛みが軽減しない場合は、慢性痛に移行しやすくなります。痛みを長引かせる主な要因は、「血管の収縮」と「筋肉の痙攣」です。この二つは相互に影響しあい、痛みの悪循環を引き起こします。この悪循環を注射で改善させる方法がトリガーポイント注射と筋膜リリース注射です。
薬物療法
痛みの初期治療で最も一般的に行われるのが薬物療法です。
おもに非ステロイド系消炎鎮痛剤(ロキソニンやボルタレンなど)が使われますが、神経障害に起因しない急性期の痛みは著効します。
神経の損傷に関する痛みには神経障害性疼痛緩和薬(リリカやノイロトロピンなど)を使用します。
上記治療で痛みの軽減が得られないような強い痛み(がん性疼痛など)には医療用麻薬が使われます。また、鎮痛剤の補助薬として、痛みの神経伝達を遅らせる効果がある抗うつ薬や、神経の過剰な反応を抑制する抗てんかん薬、血流を改善し痛みを軽減させる血管拡張薬なども使われます。
※重症の痛み(医療用麻薬が必要な患者様)については、地域連携病院をご紹介させていただきます。
神経ブロック療法:トリガーポイント注射
体は何らかの損傷を受けると痛みを感じ、私たちに損傷を受けた部位を知らせます。
しかしその痛みは一時的で、その後炎症により発痛物質が放出されます。
つまり私たちはこの発痛物質を受け取ることで損傷部位に持続的な痛みを感じるわけです。
しかし、明らかな損傷がないのに発痛物質を放出し続けることがあります。
いわゆる慢性痛です。
痛いから病院に行ったのに、異常ないと診断されたと言う経験をお持ちの方もいると思います。
明らかな損傷がないのに押さえると痛みを感じる、その痛みの最も強い部位をトリガーポイント(発痛点)と言います。
慢性痛の1つの要因は痛みの悪循環で、血管の収縮と筋肉の痙攣が原因です。
筋肉の痙攣は筋肉のしこりとして触れることが多いので、痛みを伴う筋肉のしこり部分に何らかの薬を注射して、痛みを軽減させる方法がトリガーポイント注射です。
薬は主に局所麻酔薬が使われますが、局所麻酔で痛みを取り、筋肉を麻酔することで筋肉の痙攣を鎮める方法です。
多くの方は1回のトリガーポイント注射で痛みの軽減を感じることができます。
やっとゆっくり眠れましたなど、多くの喜びのお声を頂いています。
がんこな慢性痛は薬の効果が取れてくると、また痛みが出てくることがありますので数回の注射を行います。
筋膜リリース注射
私たちの体の動きは一つの筋肉が行うものではなく、複数の筋肉が協調してバランスを取りながら行なっています。
筋肉は一つ一つが重なり合い、もしくは交差して存在しています。
それぞれの筋肉の動きが他の筋肉や周りの組織に影響しないように筋肉は筋膜という滑りの良い薄い膜で覆われています。
鶏肉など肉の周りについている薄い膜も膜です。
この筋膜のお陰で筋肉の動きに合わせて皮膚が同じように引っ張られて動いたり他の筋肉が引っ張られて動くことがないのです。
そして、ひとつひとつの動きに協調する筋肉(共同筋)は決まっていて、協調する筋肉はこの筋膜で連結されています。
しかし、何らかの理由でこの筋膜の滑りが悪くなったり(癒着)、筋膜が厚くなる(肥厚)と痛みが発生します。
しかも、滑りが悪くなっている箇所以外のところに痛みを感じる(関連痛・放散痛)ことも少なくありません。
筋膜リリース注射は局所麻酔薬や生理食塩水を患部と思われる肥厚した筋膜に、超音波画像診断機器で内部を観察しながら注射し、厚くなって弾力が失われた筋膜を本来の弾力なある薄さに剝がしていきます。
1回の注射で痛みの軽減を実感できることが多いですが、数回行うとより効果がみられます。
治療の流れ
予約
1お電話(092-753-6753)、もしくはホームページ内の「診療予約受付」より予約をお願いします。
メールでのご相談も可能です。ご希望日時、ご希望の治療内容、お悩みや不安に感じていること、疑問点などをお気軽にお問い合わせください。
当日に治療をご希望の方は、予約時にその旨をお伝えください。(状態や処置内容によっては当日行えない場合がございます)受付
2受付にお名前をお伝え下さい。保険証もしくは、身分証明書・お薬手帳をご提出いただき、問診票の記入をお願いします。
お薬手帳は今までの処方内容を確認させて頂きます。診察
3担当の医師が診察を行います。症状や不安に思っていること、お悩みの内容を医師にお伝えください。気になることは全てお話しください。 診察後、担当医師より処置の詳細や注意事項、料金等の説明をいたします。 診療当日ではなく後日に治療をご希望の方は、受付またはお電話にて次回通院日をご予約ください。
処置
4ご予約のお時間に来院ください。当日の体調などを確認させて頂きます。問題がなければ処置を行います。
着替えが必要な場合、処置室にて着替えを行い、貴重品や持ち物は備え付けのカゴに入れて下さい。
お着替え後に処置に必要な準備(エコー検査、写真撮影、処置中の体勢など)を行います。
準備が整いましたら処置の開始になります。
処置中は医師・看護師よりお声がけをさせて頂きますが痛み、違和感、体調不良などがございましたらお気軽にお声掛けください。処置後
5処置終了後、注射部の保護や必要な保護具の装着を行います。
当日や翌日、再診までの注意事項や自己処置などの説明をいたします。
処置後は10~20分ほど安静にして頂きます。ふらつきや気分不良などがある場合は休める場所がございますのでお気軽にお声掛けください。
内薬を併用する場合、処方箋、もしくは薬をお渡しいたします。
ご帰宅後や再診までに何かございましたら診療時間内にご連絡下さい。(092-753-6753)再診
61週間後に再診があります。(処置内容によって異なります)
再診内容は創部の確認、痛みの増減の確認などがあります。必要な場合は処方を行うこともあります。
処置部の状態によってはカルテ用の写真撮影を行います。
次回のご予約もしくは別部位の処置をご希望の場合、再診時にご相談下さい。
治療費
慢性疼痛の治療には、公的保険が利用できる内服治療と、完全自由診療となるトリガーポイント注射治療、筋膜リリース注射療法があります。診察(ご相談)のみの場合は、公的保険が適応となります。
初診料 | ¥3,300 |
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再診料 | ¥770 |
健康保険証 | 来院時に必ず健康保険証をご持参ください。 |
混合診療 | 保険診療と保険外診療との混合診療は行っておりません。 |
治療名 | 単価 | 最低施術単価 | |
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トリガーポイント注射 1回1か所 |
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自由診療 | ¥2,310 | ¥2,310 | |
筋膜リリース注射 1回1か所 |
自由診療 | ¥3,300 | ¥3,300 |
関連する治療
治療名 | 単価 | 最低施術単価 |
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超音波検査 | ¥5,500 | ¥5,500 |
※処置費用のほかに、検査代および初診料または再診料、必要な薬剤代がかかります。
よくある質問
- Q我慢できる程度の痛みであれば、痛みが長引いても大丈夫ですか?
- 基本的には1ヶ月以上痛みが続く場合、医療機関を受診されることをお勧めします。最初は我慢できる程度でも徐々に痛みが強くなっていく場合があります。
- Q雨が降ると古傷が痛むと聞きますが本当ですか?
- 気圧の変化によって血管の太さが変化しますので、痛みの程度が変化すると言われています。基本的には血管が細くなると痛むことが多いです。
- Q市販の痛み止めが効きません。
- 通常炎症や刺激による痛みは市販のお薬が効きますが、神経や精神的な痛みは効かない傾向にあります。
医療機関で相談されてください。 - Q痛いところはなるべく痛くても動かしたほうが良いと聞きましたが本当ですか?
- 受傷直後であれば痛みは炎症を長引かせることになり得ますので控えたほうが良い場合が多いです。1ヶ月以上経過した場合は血行を良くするためにも適度な運動が必要です。医師と相談の上行ってください。
- Q肩こりの治療はできますか?
- もちろん治療可能です。肩こりは上肢の痛みやしびれを誘発することがありますので、早めに治療することをおすすめいたします。
- Q注射は痛いですか?
- ちくっとする痛みがあります。痛みに弱い方は塗る麻酔クリーム(別途料金)などで痛みを軽減できます。
- Q治療方法はどのようにして決めるのですか ?
- 診察にて、これまでに行ってきた治療内容、痛みの性状をお伺いし、そのうえで今後の治療計画を立てます。「痛み」に対しては、まず薬物療法(内服)を行い、効果が不十分である場合や効かない場合は注射などによる治療を併用していきますが、肩こりなど「コリ」の症状の場合は、注射療法から始めることもあります。
- Q痛みはすぐに治りますか?
- 慢性痛はいろいろな要素が複雑に関係していることが多く、治療にもある程度の期間が必要になります。また、痛みを緩和させる目的の治療となりますので焦らずに治療を継続することが大事です。
- Q予約がなくても診察してもらえますか?
- 当院は予約制となっております。ご予約がなくても診察は可能ですが、ご予約の患者様が優先となりますので、お待ちいただくことがございます。
痛みの原因
痛みは体にいろいろな作用を及ぼします。受傷時の痛みは体内にばい菌が侵入するのを防ぐため白血球を呼び寄せ、周囲が炎症類似状態になります。受傷時の痛みはその時だけですがその後炎症が起こることで発痛物質(痛みを起こす物質)が放出されます。これが受傷後も続く痛みの原因です。また、ばい菌が血流にのって体中に拡散しないように交感神経が刺激され、血管が収縮し筋肉が痙攣をおこすことで受傷部分の血液循環が悪くなります。循環が悪くなることで、局所に発痛物質がたまり、そのたまった発痛物質がまた痛みを引き起こすという悪循環を引き起こします。この悪循環が慢性痛の1つの原因と言われています。また、痛みの悪循環による慢性痛は、傷が回復しても痛みが取れず、その痛みが気になり日常生活に影響が出たり、抑うつ状態に陥ったり、ますます痛みに捕らわれるようになり痛みが重症化するという悪循環も生まれます。受傷時に実際に神経が傷つき、回復したのにもかかわらず痛みが継続する場合があります。この痛みを神経障害性疼痛といい、痛みの箇所に触れただけで電撃痛と呼ばれる強い痛みが起こったり、しびれを伴ったりします。神経障害性疼痛は通常の痛み止めが効かないという特徴があります。また特異的な痛みとして心理的社会的な痛みがあります。会社や学校に行く時間になると頭痛や腹痛が起こるなど、何らかのストレスや不安が原因となって起こる痛みです。
予防法
まずケガや痛みを感じた時は、その痛みの原因を取り除くための適切な処置を早めに行うことが慢性痛への移行を防ぐ唯一の方法です。我慢せずに早めに医療機関を受診してください。