新型コロナウイルスの治療薬として日本で特例承認された「レムデシビル」について、NIH=アメリカ国立衛生研究所などの研究グループは、患者の回復期間を短縮する効果が見られたとする初期臨床試験の結果を発表しました。
「レムデシビル」は、実験で新型コロナウイルスの増殖を抑える効果がみられたため、感染した患者の治療に使える可能性があるとして、臨床試験が進められています。
NIHなどの研究グループは、5月22日、アメリカの医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に臨床試験の初期段階の結果を発表しました。
臨床試験は主に症状の重い患者1000人余りを対象に、レムデシビルを投与するグループと、そうでないグループに分けて行いました。薬を10日間投与したあと、およそ4週間にわたり経過を観察しました。
この結果、退院できる状態になるまでの期間の中央値は、レムデシビルを投与されたグループが11日で、投与されなかったグループの15日より4日短くなったとし、患者の回復期間を短縮する効果が見られたとしています。
また、試験開始から14日後に死亡した患者の割合は、レムデシビルを投与した患者のグループのほうが低くなりましたが、投与されなかったグループと大きな違いはなかったため、明確な効果は確認できなかったということです。
研究グループはこうした結果から「レムデシビルの有効性が示された」としたうえで、人工呼吸器が必要になる前に投与を開始することや、致死率を下げるためにレムデシビルの投与と並行して行うべき、ほかの治療法の開発が必要だとしています。
レムデシビルはすでにアメリカで緊急使用の許可が出ているほか、日本ではアメリカでの許可に基づいて、国内初の治療薬として5月7日に特例承認されています。
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