国立国際医療研究センターなどのグループが、新型コロナウイルスの患者に対して、感染して回復した人の血液の成分を投与する新しい治療法の臨床研究を始めることがわかりました。中国では重症患者への効果が報告されており、担当する医師は「重症患者の治療の切り札になる可能性もある」としています。
新型コロナウイルスの治療の中核を担う国立国際医療研究センターなどのグループがこの臨床研究を進めており、23日に病院内の倫理委員会で正式に承認されたということです。
「回復者血しょう治療」と呼ばれるこの治療法は、過去に新型コロナウイルスに感染し、回復した人の血液を通常の献血と同様45分で採血を行います。そこから「血しょう」を採取し、患者に投与するというものです。血しょうに回復した患者の免疫反応でできた抗体が含まれており、これが新型コロナウイルスを攻撃することが期待されています。症例数は少ないですが中国やシンガポール、アメリカでは重症患者の症状が改善したという報告がされています。
計画では、安全性や効果を調べるため、回復したおよそ50人から1人400ミリリットルの血液の提供を受け、血しょうを患者50人に投与するということです。
グループでは来週以降、新型コロナウイルス感染から回復した人に血液の提供を呼びかけ、早ければ来月にも患者への投与を始めたいとしています。
臨床研究を担当する忽那賢志医師は「回復した人の抗体を使う治療法はエボラ出血熱などでも効果が出ており、一定の効果がみられると期待しています。確実な治療薬がない中で、重症患者の治療の切り札になる可能性がある」としています。
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