「アビガン」は、新型コロナウイルス感染症の治療効果が期待されている薬の1つです。すでに中国では治療効果がみられたと発表されており、日本でも患者への臨床研究が始まっています。
「アビガン」は、6年前に日本の製薬会社が開発したインフルエンザの治療薬で、一般名は「ファビピラビル」と言います。この「アビガン」は、動物実験において胎児への副作用がみられたため、妊娠中の女性には投与できず、既存の薬が効かない感染症が発生し、かつ国が使用すると判断した場合に限り投与が認められています。そのため、日本では、国が200万人分の「アビガン」を備蓄しています。
3月からは愛知県の藤田医科大学病院などで、備蓄分の薬を使用して新型コロナウイルスに対する効果を調べる臨床研究を始めました。
臨床研究では、軽症や無症状のウイルス感染者、およそ80人を対象に「アビガン」を投与し、対象者と非対象者でウイルス量を比較することにしています。
また、群馬大医学部附属病院(前橋市)など群馬県内の3つの病院でも、20歳以上で肺炎と診断された患者を対象とし「アビガン」での臨床研究を行うことを決定し、効果の検証や安全性に関するデータを収集する予定です。
藤田医科大学病院の土井洋平教授は、「最優先の課題は、新型コロナウイルスに対する有効な治療法を確立することになっている。研究でアビガンが有効な薬であるのかどうかをはっきり確認したい」と話しています。
すでに、中国では、新型コロナウイルスに感染した患者に臨床研究を行った結果、肺炎の症状などの改善効果が認められたため、中国政府は、治療薬の1つとして正式に治療指針に採用する方針としています。
※掲載内容は、デイクリニック天神の見解を述べるものではございません。